カミーノ ことばの巡礼  

深いところで私を変えたカミーノ巡礼。記憶を言葉に還していきます。

巡礼6日目 あなたが手を合わせて祈るとき、私はその両手の中にいる。

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巡礼6日目 プエンテ・ラ・レイナ → エステージャ

 

エステージャの町の入口には聖墳墓教会

おーっ、と思わず唸ってしまう見事なファサード

中に入ると、これぞスペインという感じの黒衣のマリアが滂沱と涙を流していた。

 

教会の前に流れる川と、橋。

橋を渡ると旧市街。にぎわうバールで軽食。

カフェコンレチェが安くてうまい。

 

どうやらこの町では、いつものメンバーと離れたようだった。

イレーヌもキムさん一家もいない。みんな先に行ったのだろう。

  

アルベルゲに荷物を置いて、散策開始。

通り沿いにスピリチュアルなグッズを売っている店があった。

マッサージやヒーリングもやっているようだ。

昨日の夢を思い出した。

 

 

教会の高台にクルツ(十字架)が光っていた。

急な坂道を登りつめたてっぺんだ。

あそこまで登ってみたい、思うがいなや歩き出していた。

 

山の上に行けば行くほど強い風が吹いた。

飛ばされそうになりながら頂上へ。

やっと辿り着いた十字架は、地上で見たよりも小さくて細かった。

 

足元に広がる、エステージャの町の全貌。

高所恐怖症の人にはお勧めしない。

日本だったら絶対立入禁止にしているだろう場所。

午後の太陽が輝いていた。

 

18時半。アルベルゲで初めての自炊。

スイスから来たという白いヒゲのおじさんが、

キッチンの使い方を教えてくれた。無愛想だけど優しい大男の巡礼。

「ハイジのおじさん」と私は勝手に名付けた。

 

「どっから来た?」とハイジのおじさん。

「ジャパン」と答えると、

「ジャパアン。ふぁっふぁっふぁ」と大きな声で笑った。

 

ご飯を食べてしまっても、日記を書いてしまっても、時間があった。

いつもなら早く寝てしまうのだが、なんだかそわそわする。

門限までまだ1時間以上ある。私は夜の町を散歩に出かけた。

 

夜のエステージャ。

 

怖くない。

静かだ。

雨が少し降ったらしく、道が濡れていた。

開いているバールでは飲んでいる人たちの声。

 

ICレコーダーに入れた日本の曲を聴きながら歩いた。

ライトアップされている教会も、川も、石畳の道も、雨に濡れてキラキラ美しかった。 

 

「ありがとうありがとうありがとう」

 

歩きながら何度もくりかえして言っていた。

何だかわからないけど嬉しかったのだ。

何だかわからないけど無性に満たされていたのだ。

 

私の中から何かが溢れて、言葉が浮かんできた・・・。

 

 

あなたが喜ぶとき

私はともにいる

 

あなたが笑うとき

私もともに笑う

 

あなたが私を抱きしめるとき

私もあなたを抱きしめている

 

誰かや何かという言葉の裏に

名前をこえて流れ続けている

わたしを感じなさい

 

あなたが太陽に向かって手を合わせて祈るとき

私はその手のひらの中にいる

 

両手の中から 

あなたを包んでいる

 

 

 

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