カミーノ ことばの巡礼  

深いところで私を変えたカミーノ巡礼。記憶を言葉に還していきます。

巡礼36日目② おおもとは一つ。みなもとは一つ。一つが一つの中で分かれて、「私」と「世界」を体験している。

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巡礼36日目② フィステーラ

 

フィステーラは「地の果て」という意味。ネーミングから終わり感が半端ない。

ちなみにフィステーラ一帯は「死の海岸」と呼ばれているそうだ。

 

巡礼者はこの地で古い自分を捨て、新しい自分に生まれかわると言われている。

身に着けていた衣服をここで燃やし、沈みゆく夕陽とともに過去に別れを告げるのだ。

 

・・・が、現在では火を使うのは禁止。

古い衣服を捨てる場所だけはあり、イヴはその場所にダニーのTシャツを置いた。

 

美しすぎる海。

小さな入り江に入ると、誰もいない。

私とイヴは裸足で海岸を歩き、岩に座り、ずっと海を見ていた。

 

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この日はゆっくりしたかったのでアルベルゲでなく、海のそばのホテルに部屋をとった。

私たちは浴室のいたるところに洗濯物を干した。

それからまた散歩に出かけた。

 

浜辺を歩いていると、サンチャゴで再会した老婦人「サガン」と再会。

彼女は水着で太陽を浴びていた。

相変わらず品があってステキだった。

 

夕食はイヴのおごり。

メインはパエージャとプルポ(タコ)。ヴィーノで乾杯。

デザートはプリンとチーズケーキだ。

私は、ずっと持っていた熊野大社のお守りをイヴにあげた。

 

イヴ 「これは何?」

わたし「アミュレット」

イヴ 「(感激して)・・・ありがとう!」

わたし「プリンちょっとちょうだい」

イヴ 「ノン」

わたし「ノンだとおおおおお!(でも奪う)」

 

レストラン前の広場では、コンサートの準備をしていた。

照明がともされ、大道具さんたちがマイペースでそれぞれの仕事をしていた。

みんな自分のやっていることを楽しんでいるようだった。

レストランのウエイトレスさんもほがらかで、自分の仕事が好きだというのが伝わった。

「おいしかった」とスペイン語でお礼を言うと、満開の笑顔の花が咲いた。

 

 

ホテルで。いつものように隣同士のベッドに横になった。

イヴの方をじっと見ていたら、イヴも私をじっと見ていた。

数分間、私とイヴは見つめあっていた。

このとき、不思議なことが起こった。

 

イヴのグレーがかった水色の瞳の中に、私がいた。

私が見ているはずなのに、私は見られていた。

世界がぐらっと揺れた。

私はイヴの合わせ鏡で、同じ一つのものだった。

 

「ああ、同じだったんだ」

「外に見えている形が違うだけで、中身は同じなんだ」

「わたしもあなたも一緒で、同じ一つなんだ」

 

うまく言葉にできない。でもそれは初めての奇妙な感覚だった。

 

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おおもとは一つ。

みなもとは一つ。

一つが一つの中で分かれて、それぞれの「私」と「世界」を体験している・・・。

 

イヴと別れることはかなしい。(かなしいと感じられることのよろこび)

でも本当に別れることはない。別れるという体験があるだけだ。

そしてみんな、ただ体験をするために、この星に生まれてきたのだ。

 

窓の外の波音をききながら、私は目を閉じた。

 

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