カミーノ ことばの巡礼  

深いところで私を変えたカミーノ巡礼。記憶を言葉に還していきます。

巡礼37日目② 巡礼者は幸いである。あなたは巡礼が終わった時に本当の巡礼が始まることを知るのだから。

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巡礼37日目② サンチャゴ・デ・コンポステーラ

 

そのバス停はフィステーラへ行く前にイヴと来ていた。

だから帰る道もよく分かっていた。

私は予約していたホテルへ、イヴはアルベルゲ・セミナリオへ行くことにした。

 

イヴ 「どこで君と会える?」

わたし「私がセミナリオに行く。18時半。夕食を一緒に食べる」

イヴ 「わかった」

 

サンチャゴの町は人もまばらで静かだった。イースターのお祭騒ぎが嘘のよう。

私は再び大聖堂に行ってヤコブ様に触れ、お礼を言った。

 

18時半。アルベルゲの入口で、イヴがすでに待っていた。

私たちはアルベルゲの食堂でパスタを作って食べた。

食べ終わって話をしていると、見覚えのある「変な髪」の韓国人が入ってきた。

フィステーラのバス停で、私に親切にしてくれた韓国人ボーイだ。

 

わたし「フィステーラでは、どうもありがとう!」

変な髪「よかった〜! ちゃんと帰れたんだね〜!」

わたし「あなたはムシアへ行ったの?」

変な髪「行ったよ〜。すばらしかったよ!(と、英語でなんかいろいろ言う)」

イヴ 「・・・・・・」

わたし「(イヴを指して)彼、サンジャンであなたと一緒だったって」

変な髪「覚えてますよ〜! こんにちは〜(挨拶)」

イヴ 「・・・(握手する)」

変な髪「(私に)君ここに泊まるの?」

わたし「泊まらない。私はホテル。彼がここに泊まる」

変な髪「・・・じゃ、またどこかで!」

わたし「またどこかで。本当にありがとう!」

 

 

ちなみにアルベルゲ・セミナリオは通常料金に戻っていた。

やはりイースターの週だけ特別料金だったようだ。

私も高いお金を払ってホテルを予約せず、ここに泊まればよかったと思った。

 

イヴ 「明日の朝8時にここで」

 

アルベルゲのエントランスで約束してイヴと別れた。

明日私はルルドへ向かって出発する。でもまだ少しだけ、私たちには時間があった。

ここで一緒に朝食を食べて、一緒にサンチャゴの駅まで歩こう。

私とイヴはそう話しあっていた。

 

セミナリオからホテルまで、サンチャゴの町をゆっくりと歩いて帰った。

何度も歩いたから、小さな町は旧知のものとなっていた。

自分の中にサンチャゴの地図が息づいていた。

 

それにしても、と私はつくづく思った。

イヴと再会できてよかった。

あのまま別れていたら、きっとつらい気持ちのまま日本に帰っていただろう。

サンチャゴの神様が「別れのやり直し」をするチャンスをくれたんだ。

 

 

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結局、何が起こってもそれは完璧なんだ。

頭はいろいろな言葉で意味を飾り立てるけど、世界はただ展開しているだけ。

私も世界と一緒に動くだけ。

だから安心して心のままに行こう。ぼくはペリグリーノだ。

 

クレデンシャルに書かれている「巡礼者の垂訓」に、こんな言葉がある。

 

  1.  巡礼者は幸いである。巡礼が見えないものにあなたの目を開くならば。
  2. 巡礼者は幸いである。あなたが最も気にしていることが、ただ辿り着くことではなく、他の人と一緒に目的地に到着することであるならば。
  3. 巡礼者は幸いである。巡礼を観想し、それが名前と何か新しいものの始まりで満たされていることを見出すならば。
  4. 巡礼者は幸いである。あなたのリュックが空っぽになり、心が静けさと生命で満たされていることを見出すならば。
  5. 巡礼者は幸いである。一歩戻って誰かを助けることの方が、脇目もふらずただ前進することよりも、はるかに価値あることだということを見出すならば。
  6. 巡礼者は幸いである。全ての予想外の驚きに対して深い感謝の気持ちを表現する言葉を持たないとき。
  7. 巡礼者は幸いである。道々、真の自分に出会い、立ち止まり、見つめ、聴き、自分の心を大切にすることを知るならば。
  8. 巡礼者は幸いである。真理を求めて、巡礼を、道であり、真理であり、生命である方を求める、「生命の道」にするならば。
  9. 巡礼者は幸いである。あなたは巡礼が終わった時に本当の巡礼が始まることを知るのだから。

 

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