カミーノ ことばの巡礼  

深いところで私を変えたカミーノ巡礼。記憶を言葉に還していきます。

SAINTES-MARIES-DE-LA-MER ①

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星の通い路

 

F・ミストラルの小説「プロヴァンスの少女(ミレイオ)」。

サントマリー・ドラメールの教会を仰いで立つ彼女の像を見たとき、

「ああ、来たんだ」と胸が踊った。

 

アルルから20番のバスに乗って約1時間。

空はあいにく曇っていたが、車窓からカマルグの白馬を目にして心はワクワク。

いきなりバスが止まり、運転手のおじさんが「centre ville!」と乗客に言い放った。

少ない人数の乗客は、全員降りた。

 

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ミストラルの小説の最後に出てくるのが、この小さな海辺の町。

サントマリー・ドラメール。

 

古い伝説によると。 

エスの死後、エルサレムから小舟に乗って使徒たちがこの地に流れ着いたという。

マグダラのマリア、マリア・サロメ、マリア・ヤコべ、従者サラ、マルタ、ラザロ。

町の名である「海からの聖マリアたち」は、その伝説から名付けられたそうだ。

 

ジタンたちで賑わうこの町の祭りは、ちょうど二日前に終わったところだった。

それでも美しい正装で身をかためたアルルの女たちやジタンが、まだ町に溢れていた。

 

心は星の通い路をたどり、マリアたちの元へ走ったミレイオのよう。

抑えがたい静かなときめきを感じつつ、私は教会へ歩いた。

 

 

EGLISE-DES-SAINTES-MARIES 

 

教会の外観は要塞様式。

不似合いにかわいいカマルグ十字の飾られた小さな入り口から中に入る。

 

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聖母マリアではない。二人のマリアの像。

この地で布教したといわれるマリア・サロメとマリア・ヤコべ。

 

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そして地下のクリプトへ。

ここに、私が会いたかった聖サラがいた。

 

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ジタンたちの守護聖人である聖サラ。

黒人の彼女は聖マリアたちの従者だったといわれている。

だが異端の説では、イエスマグダラのマリアの娘ともいう。

 

かわいらしい、少女らしいあどけなさと、物憂げな落ち着きが感じられる表情。

 

「サラ。会いに来たよ」

 

思わず友達のように心で語りかけた。

 

「うん知ってる。ずっと一緒にいたよ。マルセイユから」

 

そんな声が返って来たような気がした。

サラの胸に手を当てて、鼓動を合わせた。

 

狭いクリプトは、たくさんのキャンドルの熱で暑いくらいだった。

私も2ユーロ払って火を灯し、いつものように祈りと感謝を捧げた。

 

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