カマルグにて
二日目。小雨降る中、カマルグの湿原を自転車で走った。
自転車はシャンブル・ホテルのマダムが貸してくれた。
ピンク色のフラミンゴの群れ、白馬、黒い牛たち。
「Bonjour!」自転車ですれ違うフランス人たちと挨拶しつつ走る。
カマルグはユネスコ登録の自然保護区であり、塩田でもある。
どこまでも続く単調で美しい湿原。頰に当たる風は、しょっぱかった。
バトー・カマルグ
午後。予約していた遊覧船で水上からカマルグ一周。
ガイドはフランス語と英語。
白馬たちを見つけると、船員がそっちへ餌を投げる。
寄って来る馬たち。
ギリギリまで船は接近して、写真を撮るために止まってくれる。
教会の屋根の上
船から降りて、再び聖サラの教会へ。
3ユーロ(だったかな?)払い、教会の屋根に上がる。
かなりの斜面だ。足場はまだ濡れているし、風も強い。
はっきりいって怖い。
でも頑張って写真を撮った。
LA MER
曇っていても美しい海。
トレッキングシューズを脱ぎ、裸足で砂浜へ。膝の下まで波を浴びる。
泳ぐにはまだ早い。でも何人かの人たちは水着で海に入っていた。
足の裏が、ふくらはぎが、本当に本当に本当に・・・気持ちよかった。
大地と海に根を下ろす、アーシング。
あんまり長くじっとしていたので、海の植物になってしまったようだった。
Fruits de Mer
やさしい笑顔のお兄さんと目があったから、そのレストランに入った。
コース料理は私には量が多すぎる。
一皿ものから、野菜と海の幸を頼む。
店のお兄さんは物腰も話し方も女性的で、とても感じがよかった。
奥にいるマスターらしきマッチョなおじさんと、時々キスしていた。
それがとっても自然なの。やはりフランスと妙なところで感心。
少し話しただけなのに、お兄さんは私のことを覚えてくれたようだった。
三日目に店の前を通った時も、手を振って笑顔で話しかけてくれた。
旅先の見知らぬ土地が、懐かしい場所になるのは、こんな瞬間だ。
またここでこの人に会いたい、と思うのだ。
海のそばのシャンブル・ホテル。
私が宿泊したその部屋も、そのマダムも、最高に素敵だった。
ちなみにこんな部屋。
こんな照明があって・・・
トイレのホルダーがトロー(黒牛)。かわいい・・・!
SAINTE SARA
アルルへ帰る朝、聖サラにもう一度挨拶しに行った。
聖サラは不思議。
ずっとずっと見つめていられる。見つめていたくなる。
黒いマリア様と聖サラのつながりは、なんなんだろう・・・。
教会の奥には、静かな祈りの場があった。
サントマリー滞在中、私はその場所で、どれだけ長く祈ったかわからない。
私にとって「祈り」とは「感謝」であったが、この場所では「静けさ」となった。
静けさの中で、祈りの言葉は透明になる。
透明になって、言葉以前の彼方へ還る。
波に洗われる裸足の足のように、大地と海につながり、源へ還る。