カミーノ ことばの巡礼  

深いところで私を変えたカミーノ巡礼。記憶を言葉に還していきます。

Etape22 Lacapelle Marival ~ Figeac

f:id:parasuatena2005:20200411195113j:plain
 

Etape 22 Lacapelle Marival ~ Figeac 21km

 

いきなり2ユーロくれと請求される。

あきらかにフランス人じゃない。

いつもなら言葉のわからないフリして無視するのだが、払ってしまった。

手を出してきた男性があまりにも「出すのが当然だろ」オーラだったからだ。

 

ホテルの前で彼はずっと待っていたようだった。

歩き出し早々、気分が悪くなった。

日本語で文句を言いながら歩いた。

そのうちに空が晴れてきた。次第に気分も明るくなってきた。

 

f:id:parasuatena2005:20200411194049j:plain

f:id:parasuatena2005:20200411194136j:plain

f:id:parasuatena2005:20200411194228j:plain

f:id:parasuatena2005:20200411194301j:plain

f:id:parasuatena2005:20200411194353j:plain

f:id:parasuatena2005:20200411194441j:plain

 

Figeac

 

再びのフィジャック

ここでベルナールとジャン・ピエールと別れた。

ウルリケとも偶然再会して別れた。

チケットを予約していたのにロカマドール行きのバスは来なかった。

 

こんな町、大嫌いだと思ったフィジャックに、11日後にまたやってきた。

だが一度来た街だと思うと安心感があった。

この町の聖堂もスーパーもカフェも案内所も、私はすでに知っているのだ。

 

f:id:parasuatena2005:20200411212222j:plain

f:id:parasuatena2005:20200411212319j:plain

f:id:parasuatena2005:20200411212356j:plain

 

 

『Chez Célia

 

予約する際、夕食が出せないけどいいか、と言われた。

自炊するから構わないと答えて決めた宿は『Chez Célia』。

 

オーナーのエレノワールは日本の漫画が大好きだと笑った。

彼女のイチオシは『蟲師』だった。

 

f:id:parasuatena2005:20200411194549j:plain

f:id:parasuatena2005:20200411195525j:plain

 

「福島のことを心配しているの」

原子力はもう私たちに必要ないと思う」

「私の家では10年前から太陽光発電で賄っている」

「現在フランスには原発が58基ある」

「でもこの国は地震も少ないし、国土も広い。静かなものよ」

 

エレノワールのいれてくれたお茶を飲みながら、私たちは核について話した。

私の語彙が少なく、会話は困難だったが意見は一致した。

 

「日本の言葉には魂が宿っているんでしょ。本で読んだわ」

「美しい日本の精神を汚染しないで欲しい」

 

 

Musée Champollion

 

宿のすぐ近くに、ロゼッタストーンを解読したシャンポリオンの博物館があった。

ここが実に面白かった。

ヒエログリフから各国の言葉の成り立ちについての説明が詳細になされていたのだ。

中国由来の漢字コーナーもあった。

エレノワールがなぜ「日本のコトダマ」について知っていたのか、ここで分かった。

 

f:id:parasuatena2005:20200411195442j:plain

f:id:parasuatena2005:20200411194811j:plain

f:id:parasuatena2005:20200411194648j:plain

f:id:parasuatena2005:20200411194747j:plain

 

シャンポリオンフィジャックの本屋の息子だったらしい。

幼少時から天才と名高く、9歳でラテン語を話し、16歳で12の言語をモノにした!

苦学してコプト語を習得し、ヒエログリフの解読に没頭。41歳の若さで死去とのこと。

 

f:id:parasuatena2005:20200411195411j:plain

 

 

Place des Ecritures

 

博物館を出て本屋に入った。 

そこで売られていたポストカードの中に、エクリチュール広場の写真があった。

私は、どうしてもそこに行きたくなった。

ポストカードを買うついでに店員に、

「ここ、どこですか?」とたずねて、教わった旧市街にある場所に向かった。

 

f:id:parasuatena2005:20200411195647j:plain

 

ロゼッタストーンの拡大複製。なんだか楽しい。

シャンポリオンに出会った後だから尚更だ。

f:id:parasuatena2005:20200411195715j:plain

 

最初に来たときは、大嫌いだと思った町、フィジャック

でも戻ってきて、大好きになった。

 

たった一つの懸念は、明日のバスがちゃんと来てくれることだった。

フィジャックからカオールまで、明日は絶対バスで行かねばならないのだ。

同じ道をまた歩いていたら、日本に期日までに帰れなくなってしまう。

カオールに到着後、その足でラスカバヌまで22キロ歩くのを私は予定していた。

 

どうかバスが来てくれますように・・・。

宿泊者一人きりのベッドで、私は祈りつつ眠りについた。

 

にほんブログ村 旅行ブログ フランス旅行へ