カミーノ ことばの巡礼  

深いところで私を変えたカミーノ巡礼。記憶を言葉に還していきます。

MARSEILLE なんともならない事態になっても、なんとかなる

f:id:parasuatena2005:20180711001931j:plain

 

MARSEILLEにて

 

「私はバスで NANS LES PINS へ行きたいんです 」

 

マルセイユの観光案内所で、メモを出して私は言った。

窓口の黒人のお兄さんは、私のメモを見ながらPCで検索して言った。

 

お兄さん「サントボームへ行くのは・・・難しいよ」

私   「難しい?」

お兄さん「(英語で説明する)」

私   「ごめんなさい私は英語話せません。フランス語でゆっくり喋ってほしい」

お兄さん「(笑って)これは失礼」

私   「私はナンレパンまでバスで行って、そこからサントボームまで歩きたい」

       間

お兄さん「いつ行く? 金曜?」

私   「ノン。明日」

お兄さん「明日は金曜!」

私   「(笑って)明日は金曜だ!」

       間

お兄さん「(PCから目を離し、にやっと笑って)ナンレパンへ行くのは、難しくない」

私   「難しくない! やったあ!」

 

マルセイユの地図を出して、お兄さんはていねいに説明してくれた。

 

お兄さん「バス停は駅前じゃなくて(示して)ここ。CASTELLANE」

私   「はい」

お兄さん「4001番のバス。これに乗る。金曜日は10時発」

私   「料金は?」

お兄さん「5、6ユーロくらいだと思うよ」

 

サントボームに関するサイトを、お兄さんはいろいろ調べて印刷してくれた。

宿泊したかった修道院の詳細もくれた。ありがたかった。

 

私   「ありがとう! あなたはとっても優しいね!」

お兄さん「どういたしまして。君の笑顔はとってもステキだね(ウインク)❤️」

 

 

f:id:parasuatena2005:20180702153635j:plain

 

アパルトマンの鍵

 

予約サイトの直前割引で申し込んだ今夜の宿は、CASTELLANEに近いアパルトマン。

チェックインは16時。

洗濯乾燥機付き。広々キッチン。ウェルカムドリンク付き。

すばらしい部屋だった。

ただ一つ、鍵がなかなか開かなかったことを除けば・・・。

 

そう。開かなかったのだ、鍵が。押しても回しても。

困った。

 

ホテルじゃないから周りに誰もいない。

Wi-Fiのパスワードも知らないからネットも通じない。

本当のところ、泣き叫びたいくらい困った。

 

 

どうなってんだよおおおお〜〜〜〜!!

あいてくれよおおおおおお!!!

 

 

日本語で泣き叫んでみたけど・・・開かない。(当たり前だ)

 

気分を変えて、バス停を探しに行くことにした。

戻ってきたら状況が変わって、鍵がころっと開くかもしれない。(オプティミスト!)

 

 

バス停はどこ?

 

CASTELLANEのロータリーは広かった。

バス停の数が多すぎてわからない。

案内板を見ても、4001の数字が書かれたバス停は、どこにもない。

 

 

どこなんだよおおおおお〜〜〜〜〜!!!

4001のバス停どこにあるんだよおおおお!!!

 

 

地下鉄駅の案内所の人に聞いても・・・

「うちじゃない」「わからない」「向こうで聞け」 

「向こう」の窓口の人に聞いても・・・

「うちじゃない」「そのバス会社に電話で聞け」「ネットで調べて」

 

 

全然わからない!

 

 

地上に出ると、ちょうどポリスが待機中だった。

「すいません! 4001のバスに乗りたいんですが、バス停はどこですか?」

窓口の人にした同じ質問をポリスにすると、ポリスも・・・

「どこ?」「(同僚に)知ってる?」「さあ」「お前わかるか?」

 

一人だけ「わかる」ポリスがいた。

 

 

「ああ。ここまっすぐだよ。ちょうどここ、まっすぐ!」

「ここ、まっすぐですね、ありがとう!」

 

 

元気よく感謝したものの、その答えもざっくりすぎだった・・・。

ここまっすぐの場所には、バス停が3つあった。

 

結局わからず、アパルトマンへ戻った。

鍵を開ける。

 

開かない

 

うおおおおおおお開かないよおおおおおお

 

シクシク泣いたが、泣いても開かないので泣くのはすぐやめた。

そして待った。

事態はかならず動く。

冷静に待とう。

 

5分後。

 

上の階からドアの開く音がした!

30代くらいの女性がちょうど出てくるところだった。

らせん階段を駆け上がり、私は大声で助けを求めた。

 

 

「すみません! ドアの鍵が開かないの!」

 

 

女性は降りてきた。

私の手から笑顔で鍵を受け取り、慣れた手つきで差し込み、開けた。

あっけなく。

 

 

開いた・・・

 

 

「えええええどうして? え、どうやって? ってかもう一回やって」

 

私は軽いパニック状態で、日本語で女性に喋りまくった。

女性は親切で、何度もデモンストレーションしてくれた。

鍵はその度に、あっけないほど簡単に開いた。

しかし私がトライすると、やはり開かないのだった。

 

「回して、力いっぱい押すのよ!」

 

コツはそれだけだというが、やってもやっても私にはできない。

 

私  「これ、かなり固い?」

女性 「かなり固い」

私  「・・・練習します」

 

彼女にそう言って、お礼を言って別れた。

助かった。

ともかく部屋に入れたのだ。

 

やったあああああ!!!

 

ただ部屋に入れたということが、この上なく嬉しかった。

私は一人で喜びのダンスを踊った。

 

ちょっと踊って安心したので、エスプレッソを飲みながらWi-Fiをつないだ。

さあ、次はバス停だ。

「ネットで調べて」と窓口の人に言われたことを思い出し、調べてみた。

 

あったよ・・・

 

バス会社はvarlib。4001番。

Brignoles行き。Saint-Zacharie経由のMarseille発着便。

乗り場の地図らしきものが、ちゃんとサイトで説明されていた。

そこはポリスが教えてくれた「ここまっすぐ」の中の一つだった。

(が、実際はそこではなく、道路を挟んだ向かい側のバス停と翌日判明。要注意!)

 

Nans Les Pinsの降車場も調べた。

バス停が6つもあったので、観光案内所に近いところをチェックした。

ここで降りて地図をもらえば、後はなんとかなりそうだ。

 

私は深く満足した。

満足して一息ついたら、お腹が空いていることに気がついた。

なんか食べたい。

しかし、買い物するには外へ出なければならない。

外に出るには、また鍵を閉めねばならない。

一度閉めたら・・・私はまた鍵を開けられるかどうか、わからない。

 

どうしよう・・・。

 

お腹がなった。

決めた。なんとかなる。食べたい。行こう。

 

私は外に買い物に出た。

鍵を閉めるとき、ドアに「戻ったら開いてね」と優しく声をかけて。

そしてモノプリ(フランスのスーパー)で色々買ってから、アパルトマンへ戻った。

さて、いざ開けんと鍵を差し込んだが・・・

 

・・・やっぱり開かないよおおおお!!

 

私は思わず声に出して祈った。

 

マグダラのマリア様。どうか鍵を開けてください。お願いします」

 

そして鍵を差し込み、回して押した。

何度もやったそのように・・・。

 

あ、開いた・・・

 

どうしてだかわからない。魔法のように一発で開いたのだ。

開いたからには理由はもうどうでもよかった。

 

 

マグダラのマリア様、ありがとう〜!

 

 

天を仰いでお礼を言った。

明日はいよいよ、マグダラのマリア様の洞窟に行けるんだ。

 

私はモノプリでゲットしたクスミ・ティーで自分に乾杯した。

そして今日出会った、親切にしてくれた人たちと、マグダラのマリア様に感謝した。

 f:id:parasuatena2005:20180710234552j:plain

f:id:parasuatena2005:20180710234545j:plain
f:id:parasuatena2005:20180710234556j:plain

 

  にほんブログ村 旅行ブログ スペイン旅行へ  にほんブログ村 旅行ブログ 南フランス旅行へ 
にほんブログ村