カミーノ ことばの巡礼  

深いところで私を変えたカミーノ巡礼。記憶を言葉に還していきます。

2018-07-01から1ヶ月間の記事一覧

AIX 通り過ぎた光の思い出は、私そのものかもしれない。

Aix-en-Provence その街には噴水がたくさんある。 その街には大聖堂がある。 その大聖堂の回廊は、この街で私が三番目に好きな場所。 回廊見学には、無料のガイドツアーへの申し込みが必要だ。 開催時間は決まっている。 英語かフランス語か選ぶと、ガイドの…

BORDEAUX 月の港

ボルドー・サンジャン駅 カルカッソンヌからボルドーまではTGVで約3時間。 ストライキあけの国鉄は何事もなかったように運行していた。 ボルドーはホテルが高いので、私は迷わず安いユースホステルを選んだ。 今思うと、どうして迷わずそう決めたのか、自分…

CARCASSONNE ③ 物事が動かないときは動かないのが最良。

フランスはストライキとともに 休むのだ、客がどうだろうと! ストライキ中のフランス国鉄は。 とはいえTGVの場合、数本は不規則ながら運行する。 だが基本的にストライキの日の列車は動かない。だってストだから。 日本人には信じがたいが、フランス人にと…

CARCASSONNE ② 拷問博物館

Musée de l'Inquisition 1日だけの滞在だったら、絶対そこに入ることはなかった。 拷問博物館。 「inquisition(異端審問)」という単語を私は知らなかった。 外観から、中世の宗教関係の博物館だと思った。(ある意味当たりだが・・・) 立ち止まった私に…

CARCASSONNE ① ただ「見る」ことが起こるために、体はここまで来た。

CARCASSONNE カルカッソンヌの駅に着いたのは、もう19時をまわっていた。 「城塞都市シテ」までは歩いて30分。 バスで行こうと思ってバス停を探したが見当たらない。 ほとんど人がいない駅で、インフォメーションにいたSNCFの係員に聞いた。 わたし「(…

Wi-Fiは繋がらなかったけど、目の前の人と繋がれば満足だった。

NANS LES PINS サントボームからナンレパンへ徒歩で戻り、バスの時間までその小さな町を散歩した。 バラがそこらで咲いている、古い城の見える美しい町。 小学校の前で、ゴミ出しに出てきたおじさんとばったり会った。 あそこに城があるんですね、と私は話し…

La Sainte-Baume ③

MESSE 朝。修道院の森の小道を抜けて、洞窟へ向かった。 洞窟でミサがあるので出席したかったのだ。 曇り空は洞窟に近づくと小雨に変わり、到着するやいなや土砂降りになった。 さらにミサが始まると、ものすごい雷雨に。 洞窟の中は守られていたが、雷の音…

La Sainte-Baume ②

LA GROTTE 洞窟の中は薄暗く、ひんやりとしていた。 ゆらゆらと揺れるろうそくの灯りと、光を受けてきらめく美しいステンドグラス。 意外と広い内部は、そっくり自然の洞窟のまま、教会となっていた。 オレンジ色の服を着た数名の信者たちが、長時間、熱心に…

La Sainte-Baume ①

Sanctuaire de Sainte-Marie Madeleine 誰もいない森の道を、サントボームの洞窟に向かって私は歩いていた。 曇り空の午後。 苔むした木々。巨大なブナや菩提樹が頭上高く生い茂っている。 プロヴァンスの真ん中とはとても思えない湿潤さ。 水気をたっぷり含…

NANS LES PINS → PLAN D'AUPS

MARSEILLE → NANS LES PINS マルセイユから4001番BRIGNOLES行きのバスに乗り約一時間。 ナンレパンのバス停、La Ferrageで降車する。 バスの運転手さんに「降りるとき教えて」と伝えていたのだが、忘れていたらしい。 後ろのドアが開かなかった。 「Excu…

MARSEILLE なんともならない事態になっても、なんとかなる

MARSEILLEにて 「私はバスで NANS LES PINS へ行きたいんです 」 マルセイユの観光案内所で、メモを出して私は言った。 窓口の黒人のお兄さんは、私のメモを見ながらPCで検索して言った。 お兄さん「サントボームへ行くのは・・・難しいよ」 私 「難しい?」…

Arles

アルル。それはルルドと並んで「日本人にとって発音しにくい地名」だ。 相手に首を傾げられる前に、「アヴィニョン近くの」(près d'Avignon)と言い添える。 アルルはエクサンからもマルセイユからもアクセスしやすい。 SNCFがストライキ中だったこともあり…

SAINTES-MARIES-DE-LA-MER ②

カマルグにて 二日目。小雨降る中、カマルグの湿原を自転車で走った。 自転車はシャンブル・ホテルのマダムが貸してくれた。 ピンク色のフラミンゴの群れ、白馬、黒い牛たち。 「Bonjour!」自転車ですれ違うフランス人たちと挨拶しつつ走る。 カマルグはユ…

SAINTES-MARIES-DE-LA-MER ①

星の通い路 F・ミストラルの小説「プロヴァンスの少女(ミレイオ)」。 サントマリー・ドラメールの教会を仰いで立つ彼女の像を見たとき、 「ああ、来たんだ」と胸が踊った。 アルルから20番のバスに乗って約1時間。 空はあいにく曇っていたが、車窓から…

SAINT-MAXIMIN

夢の中の夢 旅の中の旅 振り返ると いくつもいくつも 美しい瞬間に満ちていた その瞬間を生きているときに どうしてもっと気づけないのか その美しさとまさにその時 触れ合っていることに すべては瞬く間に 誰もいない記憶の国に吸い込まれてしまう 本当にそ…

マルセイユの黒いマリア

マルセイユにて 南フランス、黒いマリア、マグダラのマリア。 振り返ってみると、この三つのキーワードが旅の間、ずっと巡っていた。 カタリ派というキーワードが加わったのは、旅の後半だ。 黒い肌の聖サラが祀られている、サント・マリー・ドラメールに行…