2018-01-01から1年間の記事一覧
Aix-en-Provence その街には噴水がたくさんある。 その街には大聖堂がある。 その大聖堂の回廊は、この街で私が三番目に好きな場所。 回廊見学には、無料のガイドツアーへの申し込みが必要だ。 開催時間は決まっている。 英語かフランス語か選ぶと、ガイドの…
ボルドー・サンジャン駅 カルカッソンヌからボルドーまではTGVで約3時間。 ストライキあけの国鉄は何事もなかったように運行していた。 ボルドーはホテルが高いので、私は迷わず安いユースホステルを選んだ。 今思うと、どうして迷わずそう決めたのか、自分…
フランスはストライキとともに 休むのだ、客がどうだろうと! ストライキ中のフランス国鉄は。 とはいえTGVの場合、数本は不規則ながら運行する。 だが基本的にストライキの日の列車は動かない。だってストだから。 日本人には信じがたいが、フランス人にと…
Musée de l'Inquisition 1日だけの滞在だったら、絶対そこに入ることはなかった。 拷問博物館。 「inquisition(異端審問)」という単語を私は知らなかった。 外観から、中世の宗教関係の博物館だと思った。(ある意味当たりだが・・・) 立ち止まった私に…
CARCASSONNE カルカッソンヌの駅に着いたのは、もう19時をまわっていた。 「城塞都市シテ」までは歩いて30分。 バスで行こうと思ってバス停を探したが見当たらない。 ほとんど人がいない駅で、インフォメーションにいたSNCFの係員に聞いた。 わたし「(…
NANS LES PINS サントボームからナンレパンへ徒歩で戻り、バスの時間までその小さな町を散歩した。 バラがそこらで咲いている、古い城の見える美しい町。 小学校の前で、ゴミ出しに出てきたおじさんとばったり会った。 あそこに城があるんですね、と私は話し…
MESSE 朝。修道院の森の小道を抜けて、洞窟へ向かった。 洞窟でミサがあるので出席したかったのだ。 曇り空は洞窟に近づくと小雨に変わり、到着するやいなや土砂降りになった。 さらにミサが始まると、ものすごい雷雨に。 洞窟の中は守られていたが、雷の音…
LA GROTTE 洞窟の中は薄暗く、ひんやりとしていた。 ゆらゆらと揺れるろうそくの灯りと、光を受けてきらめく美しいステンドグラス。 意外と広い内部は、そっくり自然の洞窟のまま、教会となっていた。 オレンジ色の服を着た数名の信者たちが、長時間、熱心に…
Sanctuaire de Sainte-Marie Madeleine 誰もいない森の道を、サントボームの洞窟に向かって私は歩いていた。 曇り空の午後。 苔むした木々。巨大なブナや菩提樹が頭上高く生い茂っている。 プロヴァンスの真ん中とはとても思えない湿潤さ。 水気をたっぷり含…
MARSEILLE → NANS LES PINS マルセイユから4001番BRIGNOLES行きのバスに乗り約一時間。 ナンレパンのバス停、La Ferrageで降車する。 バスの運転手さんに「降りるとき教えて」と伝えていたのだが、忘れていたらしい。 後ろのドアが開かなかった。 「Excu…
MARSEILLEにて 「私はバスで NANS LES PINS へ行きたいんです 」 マルセイユの観光案内所で、メモを出して私は言った。 窓口の黒人のお兄さんは、私のメモを見ながらPCで検索して言った。 お兄さん「サントボームへ行くのは・・・難しいよ」 私 「難しい?」…
アルル。それはルルドと並んで「日本人にとって発音しにくい地名」だ。 相手に首を傾げられる前に、「アヴィニョン近くの」(près d'Avignon)と言い添える。 アルルはエクサンからもマルセイユからもアクセスしやすい。 SNCFがストライキ中だったこともあり…
カマルグにて 二日目。小雨降る中、カマルグの湿原を自転車で走った。 自転車はシャンブル・ホテルのマダムが貸してくれた。 ピンク色のフラミンゴの群れ、白馬、黒い牛たち。 「Bonjour!」自転車ですれ違うフランス人たちと挨拶しつつ走る。 カマルグはユ…
星の通い路 F・ミストラルの小説「プロヴァンスの少女(ミレイオ)」。 サントマリー・ドラメールの教会を仰いで立つ彼女の像を見たとき、 「ああ、来たんだ」と胸が踊った。 アルルから20番のバスに乗って約1時間。 空はあいにく曇っていたが、車窓から…
夢の中の夢 旅の中の旅 振り返ると いくつもいくつも 美しい瞬間に満ちていた その瞬間を生きているときに どうしてもっと気づけないのか その美しさとまさにその時 触れ合っていることに すべては瞬く間に 誰もいない記憶の国に吸い込まれてしまう 本当にそ…
マルセイユにて 南フランス、黒いマリア、マグダラのマリア。 振り返ってみると、この三つのキーワードが旅の間、ずっと巡っていた。 カタリ派というキーワードが加わったのは、旅の後半だ。 黒い肌の聖サラが祀られている、サント・マリー・ドラメールに行…
マグダラのマリアが33年瞑想した洞窟への旅。南フランス、サント・ボームへの行き方。
巡礼41日目 ルルド → パリ 11時15分。ルルドでフランス語のミサに出た。 様々な国籍の人たちがいる中で、日本人は私だけ。 パイプオルガンの音。フランス語で唱えられる聖母の祈り。 いつものようにミサは進行。その最後、祝福の列に私は並んだ。 サン…
巡礼40日目 ルルド二日目 アベマリアの歌声が昨夜から耳に残っていた。 朝。沐浴場の前で、ギターの演奏に合わせて歌われる讃美歌だ。 ドキドキしながら沐浴の列に並び、浴場のカーテンの中に入る。 シスターから英語で指示を受け、衣服を脱ぐ。 水の中に…
巡礼39日目 アンダイエ → ルルド ミネラルウォーターの値段が急に上がった。 そうだ。スペインじゃない、ここはフランスなのだ。 物価の違いに戸惑いながら駅前のカフェで朝食をとった。 アンダイエからダックスで乗り換えてルルドへ向かう。 隣に座ったお…
巡礼38日目 サンチャゴ・デ・コンポステーラ → アンダイエ イヴ 「僕の父親はいつも大きなナイフを腰から下げていた」 わたし「・・・」 イヴ 「彼はそのナイフで、なんでも上手に仕事をこなした」 わたし「あなたもナイフを使うのが上手」 イヴ 「旅に必…
巡礼37日目② サンチャゴ・デ・コンポステーラ そのバス停はフィステーラへ行く前にイヴと来ていた。 だから帰る道もよく分かっていた。 私は予約していたホテルへ、イヴはアルベルゲ・セミナリオへ行くことにした。 イヴ 「どこで君と会える?」 わたし「…
巡礼37日目① フィステーラ → サンチャゴ・デ・コンポステーラ 涙が出て仕方なかった。心の水道管が破裂して、両目が壊れた蛇口になった。 バスの外の風景は美しいのに、何を見てもかなしくてしょうがなかった。 昨日までイヴと一緒に歩いた道。今日は私一…
巡礼36日目② フィステーラ フィステーラは「地の果て」という意味。ネーミングから終わり感が半端ない。 ちなみにフィステーラ一帯は「死の海岸」と呼ばれているそうだ。 巡礼者はこの地で古い自分を捨て、新しい自分に生まれかわると言われている。 身に…
巡礼36日目① オ・ロゴソ → フィステーラ バールも何もない山道をしばらく歩くと、ネベの聖母教会がこつ然と現れた。 古い時代の精霊が語りかけてくるような風情の教会。 やさしい水のエネルギーを感じた。 それからまた静かな道を歩いた。 ペリグリーノは…
巡礼35日目 ビラセリオ → オ・ロゴソ 「エオリエンヌ」 一番最初にイヴから教わったフランス語。 きれいな響きだからすぐに覚えた。 意味は風力発電機。カミーノを歩いていると必ず出会うモノだ。 この日も丘の上でくるくる回っていた。 オ・ロゴソ。小さ…
巡礼34日目② ビラセリオ 「美しいものを見ることは精神に作用する」 ミケランジェロの言葉だったか。 歩きながら、ふっとその言葉が落ちてきた。 あまりにも美しい道だったから。 とはいえ何の変哲もない田舎の山道だ。 空が青くて、花が咲いて、緑が輝い…
巡礼34日目① サンチャゴ・デ・コンポステーラ → ビラセリオ イヴ 「日本語でchienはなんていうの?」 わたし「いぬ」 イヴ 「いにゅ」 わたし「(笑って)Non! いにゅじゃない。い・ぬ」 イヴ 「い・にゅ」 わたし「だからいにゅじゃないいいい」 サンチ…
巡礼33日目 サンチャゴ・デ・コンポステーラ 朝起きて気が付いた。 ドアの下に小さな紙が落ちていた。 手帳のページを破った用紙に手書きで「Bonne nuit」。 イヴが昨夜、私に書き置いて行ったのだ。 着替えをして、大聖堂のミサに出かけた。 大勢の人がい…
巡礼32日目 サンタ・イレーネ → サンチャゴ・デ・コンポステーラ イヴ 「君は写真を撮らないの?」 わたし「撮らない。それより早く巡礼証明書をもらいに行きたい」 サンチャゴに着いたというのに、何の感動もなかった。 修理中の大聖堂を写真に撮る気にも…