Etape25 Lauzerte ~ Moissac
Etape 25 Lauzerte ~ Moissac 27km
この日はさすがにたくさんの巡礼とすれ違った。
昨日のイースターに続き、Lundi de Paqueでまた祝日。
前を歩いていたのはインド人の女の子巡礼。(フランス国籍)
ロゼルトの宿で一緒だった学生で、8月に日本に行くと言っていた。
東京を観光するのに何日見込めばいいか。
夕食の時、彼女に聞かれたが、一日でいいと私は答えた。
それより京都に行ったほうがいいよ。東京は人も多いしうるさいから。
「KYOTO」と彼女は繰り返した。
Chapelie St-Sernin du-Bosc
道の途上に、素朴だが可愛い教会がポッカリと現れた。
サン・セルナンの教会。
そしてまた緑と土の匂いのする巡礼道を行く。
休憩所の前後で、何人かの巡礼とすれ違いながら挨拶を交わした。
みんなモワサックより先に行くようだった。
でも私の今年の巡礼は、今日終わる。
ゆっくりゆっくり歩こうと思った。
Chapelle d'Espis
デスピスの教会は閉まっていた。残念。
聖母マリアが幼い少年の前に何度も出現したという教会だ。
このようなマリア様出現の地が、フランスの田舎には結構残っている。
古き時代の信仰の深さを思わせる。
教会を過ぎるともうモワサックは目の前。
早く着きたくて、知らぬうちに歩く速度が速くなる。
でもいつだって大きな町では、町に入ってから宿までの距離が長いのだ。
私は明日、モワサック駅からパリへ行く。
宿にチェックインした後、下見がてら駅まで歩こうと思った。
でもその前に、絶対に外せないのがサン・ピエール修道院だ。
L'abbaye Saint-Pierre de Moissac
堂々たる世界遺産。
サン・ピエール修道院の回廊はフランスで最も美しいとも言われる。
(私はエクサンのサン・ソヴール大聖堂が一番だと思う)
聖書に詳しい人なら、柱の一つ一つに刻まれた物語を味わえる。
でも詳しくなくても、物語を想像できる。
かつて文字が読めない民衆たちに、教会は装飾絵画により教えを伝えたのだ。
この日はミサは行われなかった。聖堂内はひたすら静かだった。
Ancien Carmel
ルピュイ巡礼、最後の宿は教会付属のアンシャン・カルメル。
大人数を収容できる宿だ。
一人部屋を頼んだはずが、ドミトリーだった。
同室になった一人の女性は足を痛めて眠っていた。
明日も歩くのは控えると笑った。
同じく上のベッドにいたのは、この日途中で出会った若いスペイン人女性。
彼女も今日で巡礼は終わりだと言った。
Vue de la ville de Moissac
モワサック駅は無人で閑散としていた。
明日ちゃんと帰れるかな。まあ、きっと大丈夫だろう。
私はそれから町中を、ひたすら歩きに歩いた。
アンシャン・カルメルに戻ってから、さらに続く細い階段の道を上った。
突き当たりの丘の頂上にマリア像が建っていた。
マリア様目線で、モワサックの町を一望する。
さて。 この後に面白い一件があった。
修道院付属の売店で、私は最後に特別なギフトをヤコブ様からいただいたのだ。
それは・・・私がずっと探していた修道院プロダクツのオイル。
「Fleur de Magdala」だった!
サントボームの修道院で購入して以来、気に入ってずっと使っていたものだった。
でも日本では購入できず、フランスのどこの修道院でも売っていなかった。
実は巡礼中、修道院に入るたび、私はこのオイルを探していたのである。
それがやっと最終日にモワサックで発見できたのだ!
私は嬉しすぎて、店員さんに思わず言った。
「ずっと長い間、私はこれを探していました」
「私は今日で巡礼を終えます」
「まさに今日、最後の日に、このオイルと出会えました!」
店員さんも思わず感激。
手厚く包んでくれ(基本的にフランスでは包まない)、おまけもつけてくれた。
これは本当に本当に嬉しい出来事だった。
書くことで、巡礼が本当に終わっていく。
終わることを許すことができる。
終わるから、また新しく歩き出せる。
歩く道があり、歩ける体があるということが、ただただありがたいと思う。