カミーノ ことばの巡礼  

深いところで私を変えたカミーノ巡礼。記憶を言葉に還していきます。

Etape23 Figeac ~ Lascabanes

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Etape 23 Figeac ~ (Cahors) ~ Lascabanes 22km  + Bus

 

9:40  (Autocar 55509) FIJEAC 発  

11:19   CAHORS 着

 

フィジャックからカオールへのバスはあっけないほど簡単に来た。

私の他に乗客は二人。

バスの運転手さんはご機嫌で、ラジオの曲に合わせて一緒に歌っていた。

 

ほぼ時間通りに駅に到着。

街を抜け、勝手知ったる(?)ヴァラントレ橋を渡り、GR65の道に出る。

ルピュイの道、再開。

 

GR65! もうこの数字以外考えなくていいのだ!

 

今日からはまた、迷わないように何度も標識を確かめることはない。

その安心感といったらなかった・・・。

 

快晴。暑くなってきた。

初っ端から急激な登り坂。覚悟を決めて軽装になり、ガシガシ登る。

 

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高台から見下ろすカオールの街とロット川。

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途上の十字架に心惹かれる。見つけると写真を撮ってしまう。

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この日の目的地はラスカバヌ。

ここにある教会付属のジットでは足を洗うミサを施してくれるという。

すでにフィジャックから予約は入れていた。あとはたどり着くだけ。

昼も食べずに黙々と進む。

 

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途中のベンチで休憩中のムッシューに会った。

隣に座り、遅いお昼をようやく食べた。

クロワッサンをもりもり頬張っていると、ムッシューが笑って言った。

 

「君、今から朝食かい??」

 

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続いてベンチにやってきた二人のマダムは、汗だくだくだった。

顔は真っ赤、肌も日焼けして水ぶくれになっていた。

 

装備も靴も新しかったから、巡礼初心者と思われた。

どこから歩いているかと尋ねると、カオールからだという。

ということは、初日である。

 

二人はサンチャゴまで行くといったが、その荷物は明らかに重すぎた。

何かを捨てなければ歩き続けられないだろうと思った。

でもそれは歩くうちに、彼女たちが自分で理解していくこと。

他愛無い話以外、私は二人に何も言わなかった。

巡礼では自然とその人に必要な学びが、もたらされるからだ。

 

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『LE NID DES ANGES』

 

『天使の巣』という名前のジットに向かう。標識に名前が書かれていた。

 

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教会の扉に張り紙。ミサの時間が書かれている。

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オーナーのセシルは美人で、いかにもフランスの女性という感じ。

到着した私に、飲み物は何が欲しいかと笑顔で尋ねた。

「冷たい水」というと、冷蔵庫から冷えたカラフの水を出してくれた。

美味しかった。

 

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部屋にあったパウロ・コエーリョの本。巡礼者はみんな読んでる「星の巡礼」。

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ここまで歩いてきた自分の足をねぎらって・・・パチリ。

これから足を洗うミサに行く。

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ミサは18時に行われた。参加者は三人だけ。

どこからきたか、名前は何かと司祭に問われて答える。

 

朴訥な司祭は話があまり上手くない。

つっかえつっかえ、聖書の中の詩句を読んだ。

それでも誠実にミサを進行し、私たち巡礼者を丁寧に祝福してくれた。

私は彼に折り鶴をプレゼントした。

 

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夕食が始まってから、遅い巡礼が到着した。

途中で出会った二人のメダム(本日初日)だった。

彼女たちとは部屋も一緒だった。

二人のうち一人はアルザスから来たと言っていた。

 

わたし「アルフォンス・ドーデの『最後の授業』の舞台だね」

マダム「知らないわ」

わたし「アルザスの話・・・(有名じゃないのかな?)」

マダム「知らないわ」

わたし「じゃあ、アルザスといえば、シュークルート?」

マダム「!」

  

さて、翌日はイースターである。宿の予約をしなければならない。

わたしはセシルに頼んだが、彼女は忙しそうだった。

 

「これから別の教会に聖歌隊の練習をしに行かなきゃいけないの」

「でもあなたのことは予約しておくわ」

「今から出て、明日も会えないけど連絡しておくから。じゃあね!」

 

そんなようなことを早口でセシルは言い、出て行った。

不安は残ったが、委ねるしかあるまいと腹を括った。

 

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モワサックまであと51キロ。

私のルピュイの旅も終わりに近づいていた。

 

www.lenidesanges.com 

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