カミーノ ことばの巡礼  

深いところで私を変えたカミーノ巡礼。記憶を言葉に還していきます。

巡礼3日目 どんな自分も受け入れて愛します。私が世界にできることはなんだろう。

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巡礼3日目 エスピナル → ララソアーニャ

 

エスピナルのアルベルゲ(巡礼宿)では、韓国人のキムさん一家とまた一緒になった。

オランダ人の女性もいて話しかけられたが、何を言ってるのかわからなかった。

 

夜、ペリグリーノ・メニュー(巡礼者メニュー)のディナーを食べた。

キムさんパパとママ、二人の息子たちとオランダ人女性と一緒。

キムさんの10代の息子たちですら英語ができるのに、私だけ会話に入れない。

情けなくて悲しくなった。 

 

朝。快晴。

歩き出すと、すぐに気分は良くなってしまう。

どこを見ても景色は最高。何もかもが未知で自由だ。

 

ヘミングウェイが滞在したというブルゲーテを過ぎ、黄色い矢印を頼りにスビリへ。

さらに進んでララソアーニャという村に出た。

山が、川が、高原が美しかった。橋も美しかった。

 

今日はここまでと思ってアルベルゲを探す。

真剣にガイドブックを広げていると、道ゆく人が立ち止まり、場所を教えてくれた。

スペインの人たちはみな親切だ。

 

アルベルゲの受付で座っていると、キムさんパパが入って来た。

また会ったね、と穏やかな笑顔。息子さんたちもこのあと到着するらしい。

ご縁が続く予感がした。

 

 

シャワーと洗濯をすませて散歩へ繰り出すと、「なんでも屋さん」を発見。

パンとオレンジを買ったら、店のおじさんがワインを出してきた。

 

「飲んでけよ」というアクション。

 

カウンターに座って、ものすごく雑な英語で会話。

なぜかこのおじさんの英語はわかるのだった。

というか、わからないけど喋ることに引け目を感じなかった。

アルコールが回ったからかもしれない。私は適当に喋りまくった。

 

グラス一杯の赤ワインでふらふらになり、真っ赤な顔で店を出た。

ワインはおじさんのご厚意だった。

「グラシアス!」と言って、ご機嫌な足取りで帰った。

 

アルベルゲの2人部屋に戻ると、向かいのベッドに大柄な女性が座っていた。

40代半ばくらい。白くて長い髪を三つ編みに編んでいた。

 

目と目があったのでお互いに笑ったが、以後どちらも無言。

まっすぐなまなざしの、彼女の名前はイレーヌ。

サンフランシスコから来た教師。

けれどそのことを知るのはまだ先だ。

 

小さな白いメモ帳に、私はこの日、こう書いている。

 

どんな自分も受け入れて愛します。

他人と比べないこと。

私が世界でできることはなんだろう。

 

静かな夜。

窓の外では満天の星が輝いていた。

 

 

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