カミーノ ことばの巡礼  

深いところで私を変えたカミーノ巡礼。記憶を言葉に還していきます。

巡礼26日目② サモスの月

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巡礼26日目② オスピタル → サモス

 

イヴ 「ごめん。僕はまちがえた」

 

イヴがフランス語のガイドブック『Miam Miam Dodo』を手にして、笑顔で言った。

私は休憩したかったし、トイレにも行きたかった。

でもイヴに「もうすぐアルベルゲに着くよ」と言われ、我慢していたのだ。

それなのに勘違いしていたと言われて、私は怒った。

 

イヴ 「僕が行こうと思ってたのは、もう一つのルートにあるアルベルゲだったよ」 

わたし「(日本語で)なんじゃそりゃ〜! もう歩きたくないんじゃ〜ぼけ〜!」

 

イヴと過ごす時間を大切にしたい、とか思った直後にこれである。(人間できてねー)

関西弁でぶーぶーイヴに文句を言った。

イヴは表情一つ変えずに穏やかに先を歩いていく。(日本語わからない)

私はわざとゆっくり歩いて現状への不満をあらわにした。(子どもか)

 

「ここにしよう」

 

と、イヴが言った。レストランのある私営アルベルゲだ。

目の前にはサモス修道院併設のアルベルゲがあった。寄付制である。

私営アルベルゲは10ユーロ。高いしキッチンもない。

 

修道院の方に魅かれたが、人が多そうなのが懸念だった。

いびきや物音に悩まされたくなかったのだ。

 

わたし「ここの部屋が見たい」

 

二人で部屋のある三階に上がってびっくり。

バスタブつきの広いシャワールーム! 隣の部屋はシングルベッドが二つ。

向かいの部屋は二段ベッドのドミトリー。誰もいない。

 

わたし「10ユーロでこの部屋は、アンペカーブル!(パーフェクトだ!)」

 

シングルベッド二つの部屋にはチェストもサイドテーブルもあった。

そして窓からは美しい空が見えた。

 

すっかりご機嫌になってしまった。

軽食をとり、夕食のペリグリーノ・メニューを予約し、シャワーと洗濯をすませた。

さあ、サモス修道院見学だ!

 

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歴史あるサモス修道院は荘厳。宮殿のような大回廊。教会もあった。

他のペリグリーノと観光客数名に混じって、ガイド付きの見学。(3ユーロ)

ガイドの女性はスペイン語と英語の両方で説明してくれた。

壁に書かれた絵に、私は妙にひかれた。

 

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サモスの町。

橋の上から川を見る。

ホタテ貝の装飾。民家の椿が美しい。

 

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アルベルゲに戻ってレストランで夕食。

この夜のペリグリーノ・メニューは、巡礼中のベスト1だった。✨

 

お店のお兄さんはカタコトの英語とフランス語でメニューを説明。

私とイヴはその単語を推理してメニューを決めた。

 

1 野菜のスープ(絶品)

2 ムール貝(ボリューム満点)

3 チーズ・ウジョアを使ったハチミツ・チーズケーキ(悶絶)←マジ最高!

 

何もかも泣きそうなくらいおいしかった。

パンはおかわりし、赤ワインは軽くあけた。

日本ではアルコールを飲まない(飲めない)私が、この頃は毎日飲んでいた。

カミーノは人を酒飲みにする。おそるべし。

 

「サモスに来て良かったね」と、私たちはご機嫌に言いあった。

 

部屋に戻り、明日のルートなど話し合った。

窓側の私のベッドからは、輝く月が見えた。

 

わたし「Regardez, lune!Très beau(見て、月!とてもきれい)」

 

イヴが私の横に座った。しばらく一緒に月を見た。

窓は開けたままで気持ちよかった。月の下にはサモスの町。

明るい夜の中、明日また歩いて行く道がのびているのが見えた。

 

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