「自分を信じて旅に出る」
サンチャゴ・コンポステーラの巡礼の道を歩いた日々。
最高に幸せだった。
最初は歩きながら、頭の中は雑念でいっぱいだった。
道を間違えていないかどうかとか。
どこでお昼を食べようかとか。
今日の宿はどうなるのだろうかとか。
でも旅の終わりにはガイドブックを手放していた。
道は道自身が教えてくれた。
私は歩くだけだった。歩くということだけが起こっていた。
フランスのサンジャン・ピエ・ド・ポールから
スペインのサンチャゴ・コンポステーラまで。
カミーノ巡礼「フランス人の道」を約一ヶ月かけて歩いた日々。
道の途上で出会った人たち。みんなやさしかった。
12日目に出会ったフランス人のイヴとは、歩く速さが奇蹟的に一緒だった。
泊まりたい宿の好みも、歩きたいコースも、自炊派というところも同じだった。
だから最後まで一緒に歩いてしまった。
歩けてしまった。
誰かと一緒に歩けるなんて思ってもいなかったのに。
サンチャゴからさらに3日かけてわたしたちは、フィステーラの海まで歩いた。
見たかったものを私は見た。世界は美しかった。
幸せな記憶をアウトプットする。
自分を信じて旅に出たように、カミーノの旅のことを書いてみる。