カミーノ ことばの巡礼  

深いところで私を変えたカミーノ巡礼。記憶を言葉に還していきます。

巡礼5日目① I did it!

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 巡礼5日目 パンプローナ → プエンテ・ラ・レイナ ①

 

道の途上のマリア様は美しかった。

青空と木々の緑と大地の中で白く光っていた。

思わず手を合わせ、祈った。

 

この日も途中で三つ編みのイレーヌに出会った。

お互い元気に挨拶する。

一緒に歩くことはなくても、ただ会えただけで無性に嬉しいのだ。

 

 

朝は雪がまだ残っていたが、10時過ぎるともう暑い。

しかも昇りが続いて汗びっしょりだ。

ペルドン峠の手前にあった休憩ベンチで、

先に来ていた巡礼者のおじさんと一緒に、並んで昼寝をした。

 

おじさんはスウェーデンから来たと言った。

「スペインは暑くてたまらないよ」と何度も言った。

雲一つない青空。風力発電の風車が回っていた。

 

 

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峠のてっぺんまで登ると、巡礼のモニュメントが見えた。

おじさんは大声で叫んだ。

 

「I did it!」

 

興奮して写真を撮りながら、おじさんは言った。

 

「やった!ぼくはやったよ!ついにここまで来たんだ!」

 

「カミーノを歩くと言ったとき、

 うちの奥さんと娘は僕のこと、クレイジーだってバカにした。

 近所のジョギングでさえ続かないあんたが、

 スペイン巡礼の道を歩けるの?ってね!」

 

「でも、ぼくはやった。やったぞ!ここまで来たんだ!」

 

「(自撮りの準備をしながら)写真を撮って

 あいつらに見せなきゃ。パパはやれたんだぞっ!」

 

私も自分が誇らしくなった。

巡礼のモニュメントはガイドブックでみた、そのまんま。

その少女の像に向かって、私も言った。

 

「I did it!」

 

道はまだこれからだけど、確かにここまで来たんだ。

ご機嫌な足取りで先の道を進んだ。

この先起こる出来事など予想すらせずに。

 

カミーノ巡礼道が霊的な道だということを、

私はこの日、はっきりと知ることになる。

 

 

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