カミーノ ことばの巡礼  

深いところで私を変えたカミーノ巡礼。記憶を言葉に還していきます。

巡礼13日目① あらかじめ決めた目的地より、いまここにあるワクワクを選んで進む

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巡礼13日目① アタプエルカ → タルダホス

 

アタプエルカを出て数時間、丘の道を歩いていると、後ろから声をかけられた。

振り向くと、昨日アルベルゲで会ったフランス人のイヴがいた。

また会えた!

嬉しくなって喋りながら一緒に歩き出した。

 

二人で丘を越えて、しばらくして・・・ふっと気が付いた。

歩く速度が一緒なのだ。

気をつかって歩調を合わせる必要がない。

いや、もしかして、イヴが私に合わせているのだろうか。

よくわからなかった。

 

それにしても話も不思議と途絶えない。

フランス語であれはなんというんだっけ・・・。

脳みそフル回転状態で単語を駆使して話す快感。

イヴも私にわかる単語を選んで話してくれているようだった。

 

 

「ブルゴスで大聖堂が見たい!」

 

そう言うと、イヴも見たいと思っていたと言う。

私たちはブルゴスまで一緒に歩くことにした。

 

ブルゴスは都会である。巡礼たちはみなここで休息をとる。

町に入り、大通り沿いに進むと、スーパーマーケットがあった。

自炊派のイヴは、そこで買い物をしたいと言った。

私も買い物したかったので一緒に入った。

 

ブルゴスのスーパーは大きくて品数豊富。

果物もパンもとても安い。思わずいろいろ物色してしまった。

 

スーパーから出たら、イヴがいなかった。

店の前のベンチに座って私は待った。

でも店からは出てこないし、近くにもいない。

 

・・・迷った。

一緒に大聖堂へ行こうとは言ったけど、会えなくなるならそれまでということだ。

このまま、一人で大聖堂へ行こうか・・・。

 

腰をあげて歩き出そうとした時、イヴが戻って来た。

私の買い物が長かったから、バールでコーヒーを飲んでいたのだと言う。(ゴメン)

どうやら、ご縁はまだ続くらしかった。

 

 

大聖堂は素晴らしかった。礼拝堂の天井は星形の透かし彫り。

差し込む光の神聖さ。うっとり・・・二人とも大満足だった!

 

 

大聖堂を出て、イヴがATMでお金を下ろしている間、

お腹がすいた私はベンチに座ってチョコレートをかじった。

戻って来たイヴは、隣に座ってバックパックからサバイバルナイフを出した。

バター、チーズ、チョリソー、オレンジも取り出した。

そしてあっという間に二人分のサンドイッチを作ってくれた。

 

レストランで食事の予定が、ベンチでランチ。

チープ!・・・だけど、おいしかった。

時間もやっとまだ昼だった。まだまだ歩ける。いや、歩きたい!

この先まで行こう、私はそう思った。

 

・・・誰かが私の名前を呼んだ。見ると、ミニヨンとガイだ。

 

わたし 「あ、ミニヨ〜ン! 足はよくなった?」

ミニヨン「よくないッ! これからマッサージ!」

わたし 「マッサージ〜!」

ミニヨン「知ってる? ここのアルベルゲ超でかいッ! 150人泊まれるって」

わたし 「150人!」

ガイ  「あたしたちはホテルに泊まるんだ。二泊」

わたし 「二泊! ゴージャス!」

ミニヨン「あんたはどこ泊まるの?」

わたし 「・・・ここじゃない。ブルゴスより先」

ミニヨン「ブルゴスに泊まらないのッ?」

わたし 「うん」

ミニヨン・ガイ「クレイジー!!!」

 

クレイジーだと、自分でも思った。

でもクレイジーに、行ってみようと思った。

大きなアルベルゲはうるさい。私もそれは嫌だった。

それにイヴとの縁を、続けてみたくなったのだ。

 

あらかじめ決めていた目的地なんて、どうでもよかった。

いまここで感じているワクワクのほうが確かだった。

それこそが羅針盤だと、私は思った。

  

 

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