カミーノ ことばの巡礼  

深いところで私を変えたカミーノ巡礼。記憶を言葉に還していきます。

巡礼22日目② 焼き尽くす愛の力によって、大地は確かによみがえりつつあった。

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巡礼22日目② サンタ・カタリーナ → リエゴ・デ・アンブロス

 

フォンセバトンから屋根の色が黒に変わった。

地面の色と壁土と屋根の色はリンクしていて、その土地の特色が現れる。

 

村の入口に、大きな十字架が横倒しになっていた。

道の脇には、二人の作業着のおじさんたち。

何か食べながら休憩しているようだった。

イヴが彼らに英語で話しかけた。

 

イヴ 「この十字架を壊しているの?」

二人 「ちがうちがう! 建て直しているんだよ!」

 

二人が同時に慌てるように言ったので、私は笑ってしまった。

イヴも笑った。つられて、おじさんたちも笑った。

 

フォンセバトンという、その地名には覚えがあった。

パウロ・コエーリョ星の巡礼』。

かつて読んだその本に登場していた地名だ。

その影響で、「怖い犬がいる廃村」というイメージが私の中にあった。

 けれど、そのイメージはいい意味で覆された。

 

崩れ掛かった廃屋はそこらにあったが、廃村ではなかった。

村は活気に溢れ、再生しつつあった。

アルベルゲが数件あり、ティエンダ(売店)があり、バールがあった。

そして色鮮やかなトレッキング姿のペリグリーノが何人もいた。

 

スピリチュアルなグッズやアクセサリーを売っているバールもあった。

ボブ・マーリーの曲が流れていた。

 

「Oh, Bob Marley〜!」

 

イヴが踊り出したので(笑)、私たちはその店で昼食をとることにした。

イヴのおごりで、でっかいボガディージョ。

美味しすぎるコラカオ。イヴはビールでご機嫌だ。

 

アルベルゲの庭では、色とりどりの洗濯物が風に煽られて翻っていた。

怖くない黒い犬がやってきて、店の前でちょこんと座った。

馬を連れたペリグリーノが、目の前の土の道を通過していった。

ボブ・マーリーは『One Love』を歌っていた。

 

One Love! One Heart!

Let's get together and feel all right!

 

 

私たちはまた歩きはじめた。 

杖がコツンと石に当たった。

見ると、キラキラした白い石が転がっている。きれいだった。

よくみると黒い土に混じって、同じような白い石がところどころに埋まっていた。

 

わたし「(石を拾い上げ)C'est très beau」

イヴ 「・・・(フランス語でその石について説明する)」

わたし「(理解できない。日本語で)もう一つ欲しいな〜」

イヴ 「(理解する。土を掘って石をとりだし)・・・」

わたし「(受けとって)Merci, Yves. Tu es très gentil」

 

二つの白い石を、私は大事にポケットにしまった。

 

 

〝クルツ・デ・フェッロ(鉄の十字架)〟には、ほどなく着いた。

この十字架の下に石を置き、巡礼たちは祈りを捧げるのだ。私たちもそれに倣った。

 

クルツ・デ・フェッロ

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わたし「これはイヴの石。こっちはダニーの石」

イヴ 「・・・・・」

わたし「(並べて置く)あなたと、あなたの友達と。・・・フォーエバー」

イヴ 「・・・(ほほえむ)」

 

イラゴ峠を越え、マンハリンのアルベルゲも通り過ぎ、私たちは進んだ。

急な下りの坂道。私の杖は大活躍だ!

 

「わひゃああああああ〜〜〜! くっだり〜ざか〜〜〜!」

 

子供のようにはしゃぎながら、私は坂道を降りていった。

イヴはマイペースで黙々と降りていく。

天気は最高。気分ももう最高!

 

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今日、リアルタイムでブログを書いているこの日。

以前は難しくて読みこなせなかった『星の巡礼』を、私は改めて再読した。

 

・・・感動した。

 

いくつかのシンクロニシティーも感じた。

また、無意識に影響を受けていたことにも深く気付かされ、驚いた。

 

パウロ・コエーリョは書いていた。

「いつか、フォンセバトンは廃墟から立ち上がるだろう」と。

はい、たしかに。

「焼き尽くす愛の力」によって、フォンセバトンの大地はよみがえりつつあった。

  

「私は道沿いのすべてのものと語り始めた。木の幹、水たまり、落ち葉、そして美しいツタ等だった。それは普通の人々の行う学習だった。子どもたちが学び、そして大人たちが忘れてしまったことだった。そしてこれらのものたちから、私は不思議な答えを受けとった。彼らはあたかも、私の言っていることを理解しているかのようだった。彼らはそれに対して、焼き尽くす愛で私を満たした」

 

「夢で何をしたいかを発見すれば、その夢を実現できる」

 

「人は、誰かが自分を待っている場所にあるべき時に、必ず行く着く」

                      パウロ・コエーリョ星の巡礼

 

 

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