カミーノ ことばの巡礼  

深いところで私を変えたカミーノ巡礼。記憶を言葉に還していきます。

巡礼8日目 神様のなさることはすべて、時にかなって美しい。

 

f:id:parasuatena2005:20180211223506j:plain

 

巡礼8日目 トリス・デル・リオ → ログローニョ

 

ログローニョ。

ここでは、アルベルゲではなくペンションに泊まった。

 

私は疲れていた。

英語もスペイン語も聞きたくなかったし、ひとりになりたかった。

そして思いっきり、バスタブ付きのお風呂に入りたかった!

 

市街にあるペンションは普通のアパルトマンの一室だった。

13時前についてしまったが、ホテルと違って受付などない。

しかも玄関はオートロックだ。入れない。

 

・・・どうしよう。

 

しばらく入口で待っていると、アパートの住人が出てきた。

さっと入れ違いで中に入り、ペンションのある三階までエレベーターで上がる。

 

突き当たりの部屋のドアにペンションの名前があった。

呼び鈴を押すが誰も出てこない。もう一度押す。反応なし。

 

・・・さて、どうしたものか。

 

そういえば、と思い出す。

ネットで予約した際に、到着時間を伝え忘れていた。

でも連絡しようにも電話のかけ方もわからない。

う〜ん・・・。

 

・・・どうしたいか、心にきいた。

ここにいても仕方ないし、ま、なんとかなる。

とにかく、散歩しよう!

おいしいご飯を食べよう!

 

荷物を背負ったまま、またログローニョの町に繰り出した。

教会を見たり、お土産屋をのぞいたり。

歩く。歩く。歩く。

 

手頃なレストランでmenu del dia(定食)。12ユーロでお腹いっぱい。

デザートのフラン・デ・ウエボ(プリン)が超うまい。

マンサニージャハーブティーもとても美味しかった。

 

f:id:parasuatena2005:20180310002602j:plain

 

14時過ぎにペンションに戻ると、うまい具合にまた玄関から住人が出てきた。

・・・ついてる!

エレベーターで三階まであがり、

お願い、誰か出て下さい!

そう願いながら、ペンションのドアに呼び鈴を鳴らす。

・・・・・・・誰も出てこない。

 

どうしよう、とブルーになった。

でも予約はできてるはずだから、そのうちに誰か来るだろう。

ドアの前にしゃがみ込んで待つことに決め、私は荷物を置いた。

 

と・・・

エレベーターのドアが開いて、女の人が飛び出してきた。

私を見て、私の名前を呼んだ。

 

「はい、私です!」と答えると、女性は満面の笑顔になった。

「よかった! ごめんなさいね!」

 

とても親切な女性だった。今日の宿泊者は私一人。

ドアを開けて入ると、異空間。

きれいなロビー。

長い廊下をたどっていくと、部屋も5部屋あった。

 

「この部屋ね」と鍵を渡される。

一角に広いバスルーム。バスタブだ!

 

可愛いベッドの上には、お菓子が二つ。

サイドテーブルの上には、ウェルカムドリンクのハーブティー

オレンジとリンゴも置いてあった。

 

・・・心遣いが嬉しかった。

時間を告げていなかった私が悪いのに、あわてて駆けつけてくれたのだ。

本当にありがたかった。何度も何度もお礼を言った。

 

その日は、ちょうど春分だった。

巡礼の休憩。私に休憩。

広いベッドで眠れる幸福よ。

 

トラブルのように思えることがあっても、何とかなるものだ。世界は信頼できる。

いつだって、必要なものは必要な時に、必要なタイミングでもたらされる。

 

「神様のなさることはすべて、時にかなって美しい」

 

聖書の言葉がふっと浮かんだ。

私は、感謝しながら眠りについた。

 

 

にほんブログ村 旅行ブログ スペイン旅行へ
にほんブログ村