カミーノ ことばの巡礼  

深いところで私を変えたカミーノ巡礼。記憶を言葉に還していきます。

La Sainte-Baume ②

f:id:parasuatena2005:20180717230245j:plain

 

LA GROTTE

 

洞窟の中は薄暗く、ひんやりとしていた。

ゆらゆらと揺れるろうそくの灯りと、光を受けてきらめく美しいステンドグラス。

意外と広い内部は、そっくり自然の洞窟のまま、教会となっていた。

 

f:id:parasuatena2005:20180717230549j:plain

f:id:parasuatena2005:20180717230540j:plain

f:id:parasuatena2005:20180717230554j:plain

 

オレンジ色の服を着た数名の信者たちが、長時間、熱心に祈りを捧げていた。

何語だろうか。

時々囁かれる祈りの言葉が、エコーを伴って洞内に響いた。

そして絶え間なく流される涙のように、しきりと水がしたたり落ちる音・・・。

 

f:id:parasuatena2005:20180630204601j:plain

 

階段で下に降りると、可憐なマグダラのマリア像。

私が夢で会ったのは、彼女ではなかったか。

 

なぜだろう・・・。

不思議なくらい感動がなかった。

約束した通り、来るところに来た、そんな当たり前の、自然な対面だった。

 

私はロウソクに火を灯し、感謝を捧げた。

 

f:id:parasuatena2005:20180717231221j:plain

f:id:parasuatena2005:20180717231219j:plain

 

国王たちの道

 

戻りは〝国王たちの道〟を行く。

なだらかな斜面が心地よく続く。

途中、清冽な泉があった。

 

そのほとばしる一筋の水は、冷たくて甘くて、生きた水の味がした。

美味しくてゴクゴク飲んだ。

カミーノを歩いている時も、途中の泉でよく水を汲み、飲んだものだ。

その土地の水を飲むと、その土地の一部が体に入ってくるような気がした。

そしてそれは実際に、そうなのだ。

 

 

f:id:parasuatena2005:20180717232442j:plain

f:id:parasuatena2005:20180717232514j:plain

f:id:parasuatena2005:20180717232459j:plain

 

私は麓の修道院で二泊する予定だった。

明日もまたこの道を歩けるのだ!

明日はサンピロンの山頂まで行けるのだ!

ああ、なんて幸せなんだろう!

 

f:id:parasuatena2005:20180717234330j:plain

f:id:parasuatena2005:20180717234607j:plain

 

マルセイユで、アパルトマンの鍵が開かなくて泣いていたのが、遠い昔のよう。

途中ですれ違う数名の巡礼たちと、笑顔で挨拶をかわしながら、下山した。

 

 

17時。

雨と土の匂いがする、夕暮れの風が心地よかった。

疲れ知らずの私の足は羽が生えたように軽やかで、まだまだ歩いて行けそうだった。

 

f:id:parasuatena2005:20180717234327j:plain

 

  にほんブログ村 旅行ブログ スペイン旅行へ  にほんブログ村 旅行ブログ 南フランス旅行へ 
にほんブログ村