Etape13 Béduer ~ Cajarc
Etape 13 Béduer ~ Cajarc 18km
「昨夜は驚いたよ。こんな小さい日本人があんな大きいイビキをかくなんて」
朝食を食べながらジョエルが私に言った。
いやそれは私じゃない、ジェニファーだと抗議したかった。
が、目の前にジェニファーがいる。・・・言えなかった。
「それは、あなたがあんなにワインを飲ませたからだね〜!」
私はジョークで返答した。
ジェニファーは英語しか話せず、ジョエルはフランス語しか話せない。
だが話の内容を察して、ジェニファーが英語で呟いた。
「それ・・・わたし」
しかし、ジョエルは聞いていなかった。
そしてカジャルグへ向けて出発した。
途中までみんなと一緒だったが、私の方が歩くのが早いので先になった。
Dolmens et garriottes
この地方にはドルメン(石のお墓の遺跡)がたくさん残っていた。
日差しの下で際立つ特異な存在感。
また、ガリオットと呼ばれる乾いた石で組まれた建造物もあった。
畑の中で暑さ寒さをしのぐための、小さなシェルターらしい。
かつては羊飼いが休むための場所でもあったようだ。
そして、人よりも動物との出会い率高し。
この辺りだったか、ドイツ人のギドに出会って、少し一緒に歩いた。
彼はポーランド在住の弁護士。
ドイツ語と英語とフランス語とポーランド語と中国語を話せるという。
きっちり時間と歩数をカウントして、計画通りに歩いていた。
なんともドイツ人らしい几帳面さ。
彼は日本にもきたことがあるという。
横浜の中華街で食べた「餃子」と「ラーメン」が美味しかったそうだ。
また、「餃子」はポーランドにもあるというから、びっくりした。
私が彼のフランス語を聞き間違えたのかと思ったが、本当だった。
「ピエロギ」という料理。食べてみたくなった。
La chapelle de la Madeleine de Cajarc
Cajarc
カジャルク到着。
フランソワーズ・サガン広場の真ん中にエッフェル塔。
サガンはこの街の出身だそうで、小さな記念館もあった。
馬で巡礼する人もいる。
この馬たちとは、この後も時々会った。
Gîte d'étape Le Pèlerin
この日の宿は『Gîte d'étape Le Pèlerin』
一番乗りかと思いきや、先客あり。
ベッドルームの一番奥で足を痛めて寝ていた女の子、アン。
かなり痛くて歩けないから、巡礼はやめて病院へ行くと言っていた。
足にマメすらない自分の体に感謝した。
ジョエルと奥さんのブリジッドも後から合流。
彼らは個室だった。
そしてドミトリーには・・・
またジェニファー!
今夜も寝られないぞ、と腹をくくった。
Église paroissiale Saint-Etienne
時間があったので、サンテティエンヌの聖堂に行くと先客がいた。
信仰深きクリスチャン、ジェニファーだ。
私たちは並んで、静かに祈りを捧げた。
宿に戻ってこの日は自炊。Bioの店で少し高価な有機野菜を買って帰った。
ウルリケが作っていたヒルデガルドのレシピのスープを私も作りたかったのだ。
早めの夕食をとっていると、いろんな人が話しかけてきた。
何度も巡礼しているというミッシェル。(ミッシェルという名前は多い)
マルセイユから来たと言う。
マルセイユの言葉とパリの言葉(標準語?)はかなり違うと説明を受けた。
どう違うのか発音してもらったが、彼自身のなまりが強くてよく分からなかった。
一緒に夕食をとったフランス人の老夫婦も仲良くて素敵だった。
この先の道では「yourte」の宿もあるから、泊まると面白いと教えてくれた。
単語の意味がわからないので尋ねたら、スマホで検索して写真を見せてくれた。
モンゴルのパオのような建物。グランピング巡礼宿といった感じ。
機会があったら泊まってみたいと思った。
今まで知らなかったことを、今日もたくさん教わった。
一人の人と出会いは、一つの宇宙に新たに触れること。
未知の白地図の上に、色のついた景色が少しづつ塗られていく。
カミーノを歩く醍醐味は、そこにある。