カミーノ ことばの巡礼  

深いところで私を変えたカミーノ巡礼。記憶を言葉に還していきます。

Etape 3  Monistrol-d'Allier ~ Le Falzet

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Etape 3 Montistrol-d'Allier ~ Le Falzet 22km

 

熱のある体のまま、歩く。快晴。

30分くらいで洞窟の礼拝堂に到着。

洞窟の聖者といえばマグダラのマリア

そう、ここはマグダラのマリアの礼拝堂。

 

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La chapelle de La Madeleine

 

扉は閉まっていたから中には入れなかった。

でも本家のサントボームには去年行っているので、

今回はいいってことかな、マグダラさん。(下の写真はサントボーム本家)

 

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La Sainte-Baume  

 

そしてまた山道を行く。

が、登ったり降りたり、はっきりいってものすごくハード!

標高590mのMonistrolから、一気に1000mまで上がるのだ。

弱音を吐きながら歩く歩く歩く。

 

おまけに風も強い。

地下鉄のホームギリギリで立ち、通過電車を避けるような衝撃が、

風とともに走る。

風が生まれる場所があるとしたら、ここだと思った。

 

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Saugues 

 

12km歩いて到着したソーグは、そこそこ大きな町。

でも観光案内所はクローズ。シーズンオフなのだ。

どこかでお茶をと思ったけど、なんとなく気軽に入れない。

と、足跡を発見。

 

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行く先は・・・

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オオカミ伝説の博物館でした。

 

1764年から1767年、この地方では巨大なオオカミの群れが襲撃し、

女性や子供を食べたという伝説が残っているのだ。

ジェヴォーダンの獣 - Wikipedia

 

で、博物館の近くにいた、あなたは誰・・・?

 

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やはり一息つきたくてカフェに入ると、店の主人である男性が、

子供たちにフランス語の文法を教えていた。

「やってますか?」と尋ねると、「Oui」と言う。

私はカフェオレを注文した。

 

カフェオレを出すと、男性はまた授業を続けた。

子供たちは、彼の言う単語を正確に復唱する。

親子だ。父親と娘二人。

活用形を繰り返して互いに発音する。すばらしい。

 

私には、フランス人のフランス語を大切にする意識が感じられた。

日本語を子供に教える時、日本では学校任せにしていないだろうか?

日本語の文法を、私は正確に教えられるだろうか? 

 

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Le Falzet

 

宿についたのは14時前だった。

早すぎる。宿の前庭でしばらく待った。

 

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宿の名前は『Ferme Delcros』。

84才のおばあちゃんが一人でやっている。

 

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わたし「予約しています」

おばあ「今日はどこからきたの?」

わたし「モニストロールダリエ

おばあ「まあまあ早いのねえ。今日はあなた一人よ」

わたし「昨日もそうでした」

おばあ「どこでも好きな部屋選んでね」

 

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一番広いベッドのある一人部屋をゲット。

まだまだ陽は高いのでシャワーと洗濯の後、あたりを散策。

何もない、何もない。

 

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宿に戻ってお茶を飲んでいると、青いポンチョの巡礼がやってきた。

モンボネの後に出会ったドイツ人のおばあちゃんだ。

名前はUlrike。

頑張っても発音できないので、カタカナ読みで「ウルリケ」と呼ぶことにした。

 

ウルリケ「もうヘロヘロ! モニストロールからの山道、登ったり降ったり!」

わたし 「ハードだったよね〜」

ウルリケ「あなた早いわね、歩くの。(胸を張って)私おばあさんだから遅いの!」

 

ウルリケはご機嫌で、シャワーを浴びながらシャンソンを歌っていた。

お茶を入れながらも歌い、私に日本の歌を歌えと言った。

パッと浮かんだのが、ジブリの「千と千尋の神隠し」の歌だったので、

それを歌うと、ウルリケは「lalala la la la lalalalaLa〜♪」とハモった。

 

ウルリケ「うちは音楽大好きファミリーなの。みんなでコンサートもするのよ」

 

この後、2人のフランス人が合流し、最終的に宿泊者は4人になった。

テントを担いで歩いている「自称クレイジー巡礼」のミシェル。

今日は40キロ歩いたといって、19時過ぎに駆け込んできた20代の若い女性。

リアルスピードのフランス語は、早くてほぼ聞きとれなかったけど楽しかった。

 

ちなみにこの宿はWi-Fiが使えなかった。

主人のおばあちゃんは「そういうの、わからない!」と私に訴えた。

次の宿の予約を頼むのも、私は諦めた。

 

夜。私の熱は全く下がらず。手持ちの葛根湯はもうなくなってしまった。

母屋の方から、おばあちゃんの家族だろうか、複数の人の話し声が聞こえていた。

ラジオ音声のようだった。

その声を聞きながら、私は眠りについた。

 

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